【10月30日】
静岡入り。 ワールドカップ説明会。
部屋に入るともう外人同士はすっかりうちとけている様子。
いきなり一人ぼっち。 (そうだよな。この外人のノリについていけないんだよな。) と思いながら説明を聞く。
「Street Beat」 のロマノとニーニョが前回、前々回から知っているので少し話す。
が、基本的に一人ぼっち。日本に居るのになぜなん だと思いつつ愛想笑いする自分に疲れ始める。
説明会終わりホテルにチェックイン。ほっとする。 夜のパーティーが憂鬱。
p.m.6:00パーティーのあるホテルに入ってすぐTENSHOさんとYENTOWNFOOLSの二人と会う。
やった! 日本人だ。昼間の一人ぼっちを取り戻すようにしゃべり続ける。
途中ボランティアスタッフの人たちに 「がんばってくださいね。」 などと言われ 「はい」 といいながら心の中で
(かんべんしてよ。俺プレッシャーに弱いんだから) などと思う。
パーティー始まる。
思ったより日本人パフォーマーがいたのでそれなりに楽しく過ごす。外人さんとも何人かと話す。
そうだよ、心開けよ、山本!

【10月31日】
プレビューショーの日。いつも静岡で一番疲れる長い一日。午後よりリハ開始。
自分の番になりチャーリー山本でリハ。前に座った外人パフォーマーにクスリともせず見守られる。
やりづらー。会場に日本人パフォーマーやってくる。ほっとする。
結局この日はワールドカップ控え室で閉じそうになった心を日本人控え室に行って開くという
二つの控え室を行ったり来たりの一日。
それでも前の日よりは少し多くの外人さんたちと会話。話も少し弾む。
やれば出来るじゃないか、山本!

 【11月1日】
雨模様。 小雨の中3回ともパフォーマンスが出来た。
外の場所が苦戦する中、自分のポイントにはずいぶんと人が来てくれた。
やっぱりワールドカップにエントリーすると違うね。
実は今回自分のショーが何分あるのかわからず、もし25分を超えるとそれだけで審査の時は失格となってしまうので
お客さんにそう断ってスタッフの人に時間を計ってもらう。
一つ二つ小ネタをやった後 「はい、ここから演技はじめます。」 の言葉に失笑を買う。
ショーもうまくいき時間も21分弱。やった。まずは一安心。
そしてこの日から本当にたくさんの人に 「ワールドカップがんばってください」 とか 「期待してます」 とか言われ続ける
ことになる。なんかオリンピックの選手になった気分。けどだんだんその気になってくる自分も発見。
がんばれ山本!

 【11月2日】

この日は朝、次の日の審査会場となるプレミアムステージで一回パフォーマンス。
あれ? 舞台が思ったより広くないと感じる自分。調子もいいぞ。
終わった後お客さんに 「ワールドいけますよ!」 などといわれ 「何を言ってるんですか!」 といいながらも
ひょっとしたら・・・と少しだけでも思う自分。
おいおい。いい気になるな、山本。
そしてこの日は七ぶら公演。
沢山せりふがあったのでずっと気になっていてこの一週間暇があるとセリフの稽古をしていた。
のにもかかわらずはじめからセリフにつまり小出・三雲につっこまれる。 おまけにセ三味の 「涙そうそう」 の伴奏で
泣きのセリフのシーン 前列のこどもの 「おしっこ」 の声に全部お客を持っていかれる。
俺の一週間を返してくれ・・・。とまあいろいろありましたが無事終了。
客だしの時ここでもおおくの人から声をかけられる。
もちろん全力を尽くしますよ! 公演打ち上げのあとホテルに戻りベッドに。
なかなか眠れないのでいろいろと考える。
いつの間にか自分がワールドカップの何かの賞をとったときのスピーチを考えている。
そして (今となっては思い出せない) その内容に感動している自分。
早く寝ろよ、山本!

 【11月3日】

審査当日。晴れ。
さすが土曜日。木、金曜日に比べたらうそみたいな人出。
自分のポイントはメインの会場より少し離れているのにかかわらず沢山の人、人、人。
何とか2回無事終了。ポイントスタッフに 「がんばってください」 といわれ 「はい、やるだけのことはやります。」
そしてメインステージの舞台裏。次から次とすごい音量でいったい表でナニやってんだというような音楽。
「ワー」 という歓声。おちつかねー。
右においてあるものを左に動かしまた右に戻すというようなことをしている自分。
アクロバットが続きラストはパントマイムが2組続く。
自分はラストの出。私の前はジョセフさんというベルギーのマイム。
裏で聞いているとどっかんどっかん受けている。
オイ何やってんだ、と横から見ると客上げしてエスカレーターをやっていた。
お、お、なんという王道。そしていよいよ出番。
(あわてるな、あわてるな。) と自分に言いつつ舞台へ。

後はよく覚えてないです。けど、だんだんよい感じになって行ったような気がする。
そしてラストのキューピーを床に置いてENDマークを出した。
やったよ。とりあえず自分の出来ることはやりましたよ。拍手の中ボーっとして立っている。
客席を見回してもう一回礼したら急に泣きそうになってしまった。
やばっと思って顔を上げ客席を見回した。そして投げ銭をもらいながら多くの人に声をかけられて
「ありがとう、ありがとう」 といわれていたらまた泣きそうになってしまってまいったなあ。
どうもありがとうございます。 とりあえず終わりました。


 【11月3日】

フェスティバル最終日。
市内で三回。回を追っていい感じになって全部終了。
今年はワールドにエントリーしたおかげで沢山の人に 「はじめて見ました。おもしろかったよ。」 といわれる。
もうずいぶんと長い間来てるのに。
ま、そんなもんだよな。 沢山パフォーマーが居るもんな。 と思いつつとにかく多くの人が観に来てくれたことに感謝。
メインステージへ。審査発表へ。
ブロンズ賞・シルバー賞・チャンピオンの順に発表。
驚いたことにチャンピオン以外の人は思ったほど喜んでいないような感じ。
(ワーッ。ここに来た人たちは本当にチャンピオンになるためだけに来てんだー。) などと舞台上で思っていた。
でも自分にとってうれしかったのは今年のチャンピオンはニーニョというクラウンだったこと。
ここ何年もアクロバットやジャグラーばかりが取っていたのでなんかサーカス大会のような感じがしてた。
演技の出番待ちをしていたニーニョにそんなことを話したら
「そうだろ。世界のクラウンのためにもよかったろ」 と言い残して舞台へ。
ちなみに審査発表の舞台から裏に戻ると日本人パフォーマー10人ぐらいに囲まれた。
見たら 「光洋おめでとう」 と書いた紙。そしていきなり胴上げされる。
わけもわからず呆然。それを見ていた外人パフォーマーたちもわけもわからず拍手。
あとで聞いたらカナールの太郎君が勝手に私が何かの賞が取れるんじゃないかと思い込み
シルブプレの岳史君がいろいろと用意して
もし私が何かの賞に引っかかったら舞台上でそうする予定で裏でみんなで練習していたとのこと。
だからとにかく舞台の裏だったけどそうしてくれました。
どうも気を使ってもらってありがとうございました。
「イヤーっ舞台裏の日本人パフォーマーの一体感。よかったですよ。」 とのこと。よかった、よかった。
全部が終わり仲良くなった外人パフォーマーと住所交換などしてまた会いましょうなど言って別れる。
ニーニョともまた来年と約束して。
祭りが終わった。
東京に帰ったら月末の自分の公演のこと考えなきゃなー。
まだまだ日常は続くよ、山本!

 【p.s.】

今年4月のある日。
静岡の小松さんから電話があった。ワールドカップ部門に出場を知らせる電話だった。
「えっ?!僕でいいんですか?・・・本当に?でもどうして・・・。」
会話の中で二回ぐらい 「でもワールドカップ部門にも丸しましたよね?」 と聞かれる。
「ありがとうございます。」 と言って電話を切る。
その日の夜、メールが届く。

『 いつも お世話になります。
大道芸ワールドカップ実行委員会
選考・審査室小松です。
昼間は突然の電話でびっくりさせてしまい申し訳ありませんでした。
出場のご同意をいただけてとてもうれしいです。
<中略>
尚、ドッキリではなく本当の話ですので。
改めて念のため申し添えます。
楽しみにしております。 』

このメールのコピーをずいぶんと長い間持ち歩いていて時々見てましたよ。
『そうだ、ドッキリじゃないんだ』
と自分に言い聞かせつつ・・・。

静岡の皆さんもお疲れ様でした。
そしてどうもありがとうございました。
また来年会えるといいですね。

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